2011年 09月 18日
アサヒペンタックスS型ブラック仕上げというというカメラ
この時期のペンタックスは1957年ペンタプリズムを内臓したAP型でアサヒフレックスを大幅刷新し1958年には半自動絞りを内臓したK型を発売していた。その端境で人知れず売られていたらしいのがS型で、後にペンタックスを大きく躍進させるS2型というカメラがありますがじゃあS1型やS型は無いのかと言われると実際あったのです。S1は名前だけの違いでしたが。
asahi pentax 'S' Original black Takumar 35mm f4
S型は一体どんなカメラなのか。資料は残していないので根拠となりませんが、確か一度K型とS型が並んだ広告を見かけたことがあり、つまりS型はAP型を引き継いだカメラ、推測すると部品整理的な意味合いか、あるいはK型と販売価格で差をつけていたのか。そういえばS型の意味はstandardということらしいです。APはAsahi Pentax、K型はKingでこれは一般にもそう通っています。あとは一番大事なことですが、ボディ上部にハッキリと「S」と彫ってあることですね。APに刻印は無くKはKとあります。
現品を手にした感じではAPの大陸系列シャッター表示、1/25とかそういうのがいわゆる国際系列となり今と同じ倍倍の表記へと直されています(上限は1/500で同じ)。そこだけかいという感じもしますが、巻き戻しクランクなどの小物部品がK型と同じ部品が使われているようでした。フォーカシングスクリーンはマットでしたがAPより見栄えが良かったような・・・ちなみにKはマイクロプリズムです。SはAPの輸出向け銘柄だったのではという記載もありましたが、上記の差異から少なくともAPと同じカメラではないと思います。
S型は旭光学が販売したカメラのリストを見るにつけ多くのケースで無かったことにされており、存在を知るファンは少ない。実際軽くネットで検索しただけでWikipediaには「試作のみ」とあります(面倒なので書き直さないけど)。しかし一説には4,000台程度出荷されたとの話もありこれを信じれば実はそれなりの台数が出荷されていたことになります。事実S型のクロームボディであれば丹念に見張っていれば何度かは出会うレベルの珍品という認識でした。じゃあ何故飛びぬけて珍しいのかと言うと、オリジナルブラックボディだからなんですね。APとKにはブラック仕上げが存在し、私も何度か見たことがありますがこれは存在を知られていないカメラのブラックボディですのでもう出会うことはないでしょう。実際この個体も今は手元にありませんので。
ところでボディがブラック仕上げの場合レンズも同様に特別なブラック仕上げのことが多いようですが、私のS型にレンズはついていませんでした。58mm2のブラック仕上げだけはAP黒もないのに何故か持っていたことがあります。APとSではセットされている標準レンズにも違いがあり、APは58mmF2か58mm2.4、S型は55mm2.2が着いていたのではないか?と思っていたのですが、こちらに紹介する方が55mmF1.8プリセット絞りなるレンズをお持ちなのでこれが付いていたのかもしれません。
ということで唐突にこんなエントリーを書きましたが、あるサイトでKの黒を見かけそういえばS型について言及されたサイトは思いのほか少ないなと書き残しておくことにしました。